さわちゃんのだじゃれしゅぎょう

 

 さわちゃんは小学一年生。しゅみは本を
よむこと。とくぎはだじゃれです。
よう気なおじいちゃんのえいきょうで、さわちゃんはだじゃれを作るのがとくいなのです。
 今日もクラスのみんなに、だじゃれをきかせていました。
「このでんわには、だれにもでんわ。ぞうがゾ~ッとふるえる。ふとんがふっとんだ。はくちょうがハックチョウ、とくしゃみした。はなしのないようが、わからないよう」
 みんなさわちゃんのだじゃれをきいて、クスクスわらいます。と、そこへ先生がきょうしつに入ってきました。
「もうじゅぎょうは、はじまっているんだぞ。おかのさわ。だじゃれも、ここまでにしなさい」
 中森(なかもり)先生にいわれて、さわちゃんはじぶんのせきにつきました。でも、じゅぎょうがおわると、休みじかんにまただじゃれをはじめました。
「ほっかいどうは、でっかいどう! すべってころんで、おおいたけん。いばっているいばらぎけん。しまった! としまねけんでさけぶ。ニイッとわらってにいがたけん」
「さわちゃん、とどうふけんにもくわしいのね」
 まみちゃんがいいました。
「このだじゃれ、おじいちゃんがおしえてくれたのよ」
 さわちゃんはいいました。
 さわちゃんが学校からかえってくると、おかあさんがスーパーへおしごとにいくところでした。
「ただいマンゴスチン」
「さわ、おかえり。さわあてにてがみがきているわよ」
 おかあさんはさわちゃんに、みどりいろのふうとうをわたしました。
「だれからのてがみなの?」
「それが、さし出人がかいてないのよ。一体、だれからのてがみなのか、おかあさんにもわからないのよ。あっ、もうこんなじかん。七じまでには、かえってくるから。いってきまーす」
「いってらっしゃインドネシア」
 おかあさんがスーパーにいくと、さわちゃんはじぶんのへやにいって、みどりいろのふうとうをあけました。中には、ふででかかれたてがみが入っていました。でも、ふででかかれた字は、むずかしくて、さわちゃんにはよめません。
「おじいちゃん、おじいちゃーん」
 さわちゃんはおじいちゃんのへやにいきました。おじいちゃんなら、このてがみをよめるとおもったからです。
「おう、さわ。おかえり。どうしたんだ?」
 おじいちゃんはへやで、いごをやっていたところでした。
「おじいちゃん、この字よめる?」
 さわちゃんはてがみを、おじいちゃんに見せました。
「どれどれ……」
 おじいちゃんはてがみをよみはじめました。
『さわちゃんへ
 わたしはくすのき山にすんでいる、だじゃれ仙人です。わたしは、人々がはなつだじゃれをきいて、せいかつしています。だじゃれはわたしのしょくじなのです。さわちゃんのだじゃれも、きいています。でも、さわちゃんはまだ小さいから、だじゃれを作ることは、まだまだみじゅくだと、わたしはおもいます。
 さわちゃん、こんどの日よう日にくすのき山にきてください。さわちゃんのために、だじゃれしゅぎょうをします。だじゃれをたくさんみにつけられるように、りっぱなだじゃれ人げんにしてみましょう

くすのき山のだじゃれ仙人より』

「どうする、さわ。だじゃれしゅぎょうだってさ。どうする?」
 おじいちゃんがききました。
「え~、わたしのだじゃれ、かんぺきだとおもってたのに~」
 さわちゃんはくやしがりました。だじゃれ仙人は、人のだじゃれがどれぐらいはなせるか、知っているようです。
「こんどの日よう日、くすのき山に行くか?」
 おじいちゃんがたずねるとさわちゃんは、
「うん。わたし、だじゃれ仙人のところへ行ってくる」
と、いいました。

 さて日よう日、さわちゃんはくすのき山にやってきました。くすのき山は、町外れにある小さな山です。そこには、小さなみ(・)どう(・・)しかありません。
「くすのき山にきたのはいいけれど、だじゃれ仙人さんはどこにいるのかなぁ」
 さわちゃんはあたりを、きょろきょろ見回しました。と、そのとき、みどうのとびらが、バン! とひらきました。
 ひゅひゅひゅひゅいーん
「きゃー!」
 さわちゃんはみどうの中にすいこまれていきました。みどうの中は、広いせかいでした。さわちゃんは大きな池のまん中の小じまに立っていました。小じまには、ももの木があって、はしがかかっています。さわちゃんははしをわたって、むこうぎしに行きました。はしはながくて、なんメートルあるかわかりません。大池には、はすの花がたくさんういていて、赤や黒や金色のコイがおよいでいました。
 さわちゃんがやっとむこうぎしにつくと、そこには大きな赤いもんがありました。とびらはギィィ~、とひらいてそばにはながい白いかみの毛とおなかのあたりまで白くてながいひげのおじいさんが立っていました。
「ようこそこそどろ、さわちゃん。だじゃれ空間へ」
「おじいさんが、だじゃれ仙人ね」
「そのとおりジャングル。ここはわしのやしきなのだようちえん。ここで、しゅぎょうをするのじゃよ。さあ、中に入ってきなサイコロステーキ」
 さわちゃんはだじゃれ仙人のあとをついてきて、おやしきの中に入りました。おやしきの中は、一から七までのへやがありました。
「一からじゅんに、しゅぎょうをするのだいこん。一つのへやで、おだいが出されるから、そのおだいどおりのだじゃれをいうのじゃんけん。では、しゅぎょう、スタートル」
 さわちゃんはまず、一のへやに入りました。一のへやは花ばたけでした。花たちが、さわちゃんのところによってきました。
「ようこそ、一のへやへ。ここでは花の名前をつかっただじゃれを、七ついうのです。七ついえば、つぎのへやへすすめます」
と、白ゆりがいいました。
「花のだじゃれね。ええと……」
 さわちゃんはしばらくかんがえてから、
「チンパンジーのすきな花は、パンジー」
「はい、一ついえました」
 パンジーがいいました。
「ひまなひまわり」
「よくできました」
 ひまわりがいいました。
「あさがおが、あさ、ガオーッとほえる」
「あはは、いいよ」
 あさがおがいいました。
「ばらがバラバラにちる。らんがランランうたう。うめはうめぇ」
 さわちゃんはつぎつぎに、花だじゃれをいいました。あと一つです。
「クレマチスをくれます?」
「はーい、みごとに花だじゃれを七ついえました! 一のへやみごと、クリアーです。つぎの二のへやにおすすみくださーい」
 さわちゃんは一のへやを出て、となりの二のへやに行きました。二のへやには、とりかごがいっぱいあります。ことりが入れる小さいのや、大きなとりの入るてつごうしもあります。
「ここはとりのだじゃれを七ついうんだ。できるかな?」
 赤いオウムがいいました。
「ええと、じゃあね……。コンドルがじめんにめりこんどる」
 するとてつごうしの中のコンドルが、ギャーギャーいいました。
「わしの名前はわし。うずらがうずうずしている。たかがたかる。インコはいん子(いい子)。う(・)がうがいする」
 さあ、あと一つです。
「フラミンゴがフラメンコをおどる」
「よくできました!」
 とりかごの中のとりたちがさけびました。
「ではクリアーしたので、三のへやにいってくださーい」
 オウムにいわれて、さわちゃんは三のへやに行きました。三のへやはなんと、水の中でした! でも、ふしぎなことに、さわちゃんもいきができるのです。
「ようこそ、三のへやへ。三のへやでは、さかなや海の生きもののだじゃれをいってね」
 まぐろがさわちゃんに、いいました。
「ええと、海の生きものだじゃれね。それじゃあ……。おめでたいタイ」
「ぼくの名前じゃかんたんだけど、つぎがつづくかな?」
 タイがいいました。
「さばくでサバをくう。エイがえーいっ、という。あんこうがあんこをたべる。いわしはいわしい(いやしい)。金魚が金かいを見て、ギョッという」
「さあ、あと一ぴきだぜ」
 サメがいったときです。さわちゃんはサメを見て、こういいました。
「サメがさめざめとなく」
「ああっ、しまった! 出てくるんじゃなかった!」
 サメはこうかいしましたが、さわちゃんは三のへやもクリアーしたあとでした。
「つぎ行きな、四のへやだ!」
 サメはくやしがありながら、さわちゃんにいいました。
 四のへやに入ると、森の中でした。森にはいろんな虫たちがいっぱいいます。
「ここは四のへや。ここでは、虫のだじゃれをいうんだよ」
 カブト虫がいいました。
「虫のだじゃれかぁ。むずかしそうだなぁ……。ええと……、バッタがばったりたおれる。ハチが八ひきいる。キリギリスのい(・)がキリギリいたむ。カイコがかいこ(クビにされること)される。コガネムシの子がねぇ(ない)。ハエははええ(早い)。それから……」
 あと一ついえば、四のへやから出られます。さわちゃんはしばらくかんがえてから、ピンッとおもいつきました。
「カブトムシがカ(・)、ぶっとばす」
「よくできました! 四のへやクリアーでーす!」
 虫たちがいいました。
「次、五のへやに行ってくださーい」
 アゲハチョウにいわれて、さわちゃんは五のへやにやってきました。五のへやは、大きな草原でした。草原には、ぬまや川やジャングルがありました。
「ようこそ、ここは五のへや。五のへやでは、どうぶつだじゃれをいうんだよ」
 シマウマがさわちゃんにいいました。
「ぼくについてきて。広ばまで、あんないしてあげるよ」
 さわちゃんはシマウマにいわれて、広ばにやってきました。広ばにつくと、そこにはたくさんのどうぶつたちがいました。
「さぁ、だじゃれをはじめろよ!」
 かんきゃくのトラがいいました。さわちゃんは広ばのまん中に立って、だじゃれをいいました。
「ラクダにのるのはらくだ。ネコがねころんだ。犬がいぬ(いない)。ブタにぶたれた。サイがさいなら(さよなら)。ヒョウがウヒョーッとびっくりする。うしがウシシシとわらう」
 さわちゃんは、あっというまに、どうぶつだじゃれを七ついいました。
「ごうかくだ。シマウマ、六のへやまでにつれてゆけ!」
 ライオンがいいました。さわちゃんはシマウマにつれられて、六のへやにやってきました。とびらをあけると、中には、ごちそうののったテーブルがたくさんありました。さわちゃんはちょうど、おなかがすいたところでした。と、そこへ白いふくをきたりょうり人があらわれました。
「六のへやにきたら、おなかすくとおもっていてね。仙人さまにいわれて、ごちそうを作ったんだ。もし、たべものだじゃれが七ついえたら、すきなものを食べてもいいよ」
 りょうり人にいわれて、さわちゃんはたべものだじゃれをいいました。
「ええと……、カレーはかれえ(からい)。ステーキはすてき。そばはすぐそばにある。アンパンは口を大きくあーんとたべる。みそしるを作るにはミソ(そのとくちょうのこと)がいる。ソーダをのむのはさんせいだ、そうだそうだ。ケーキのけいき(金回りがいいこと)がいい」
 さわちゃんはだじゃれをいうことが、できました。
「よくできたね、さあ、すきなものをたべてもいいよ」
 りょうり人はさわちゃんに、ごちそうをたべさせました。さわちゃんはローストチキンとポテトスープとツナサラダとデザートにいちごケーキをたべて、クリームソーダをのみました。
「ごちそうさま、おいしかったです」
 さわちゃんはりょうり人におれいをいいました。
「さあ、あと一つでしゅぎょうがおわるよ。がんばってね」
 さわちゃんは六のへやを出て、さいごの七のへやにいきました。七のへやのとびらをあけると、おくには大きなイスにすわっただじゃれ仙人がいました。
「よくきタンバリン。七のへやでは、わしとだじゃれがっせんだんご。わしにかてたら、にんていしょをやロウソク。ではわしからいくぞうり。このでんわにはだれにも出んわ」
「こんなのあたりきよ!」
 さわちゃんがじしんをもっていいました。
「カラスのす(・)は空(から)っす」
「なかなかやるな! タンスがダンスする」
「のりがノリノリしている」
「天こうのてんこうせい」
「クレヨンをくれよん」
「アメの雨がふってくる」
「くすりがクスリとわらう」
「はろうのあいさつはハロー」
「あわがあわてている」
「きりの天気はきりきりまい」
「ウマのさしみはうまい」
「くもりの日はクモがこまる」
「あくまがクマを見て、『あっ、くまだ』といった」
「あらしが町をまきあらしする」
 さわちゃんはだじゃれ仙人のだじゃれをきいて、気がつきました。
「だじゃれ仙人さん、天気のだじゃれしかいってなーい」
「ああっ、しまったしまうま」
 だじゃれ仙人は口ごもりました。さわちゃんに天気のだじゃれしかいわないことに。
「ううむ、見ぬかれてしまってはしかたナイロン。わしのまけじゃり。これをうけとレンコン」
 だじゃれ仙人はつえをふるって、一まいのかみを出しました。それはだじゃれたつ人のにんていしょでした。

『おかのさわどの

 あなたはだじゃれしゅぎょうをりっぱにこなしましたので、だじゃれたつ人のしょうごうをあたえます。
だじゃれ仙人より』

「わーい、にんていしょをもらっちゃった」
 さわちゃんは大よろこびです。
「さわちゃん、よくしゅぎょうをおえたぬき。さあ、おうちにかえりなサイクル」
 そういうとだじゃれ仙人は、つえをふるって、さわちゃんをだじゃれ空間の外に出しました。
「わあぁっ」
 さわちゃんはみどうの中からとび出て、しりもちをつきました。
「あいたたた……。だじゃれ仙人さんったら、らんぼうだなぁ。もっとやさしくしてほしいよ……」
 さわちゃんはふくについたすなをパッパッ、とはらいながらいいました。さわちゃんはあらためてにんていしょを見ると、にんていしょはお日さまのひか
りにあたって、キラキラとかがやいていました。
 空を見ると、もう日がしずむころでした。
「おうちにかえって、おとうさんやおかあさんやおじいちゃんに、にんていしょを見せようっと」
 さわちゃんはだじゃれ仙人からもらったにんていしょをもって、げん気におうちにかえっていきました。