一次創作小説メイン、SF大好きな人には必見!

ワンダリング1-4

 

INTARVAL 宇宙市場(コスモマーケット)

 グルグロブを出て十数時間後、アバドゥン団の残党はラムダ星域の連合軍によって連行されたと通信が入った。
『ワンダリングス、宇宙盗賊アバドゥン団の逮捕、御苦労であった』
 ウィッシューター号の司令室の立体映像モニターからラムダ星域連合軍のバタン星人将校の顔が映し出された。
「はっ……。ごもっともであります」
 グランタス艦長は深々と頭(こうべ)を垂れる。
『本当に連合軍に入ろうという気はないのかね?』
 将校が艦長に訊ねる。
「我らワンダリングスは生まれも姿も文化も違う者ばかり。かつては故郷の星の兵士だった者もおりますが……。いえ、この私も王子だった時は連合軍になれるほどの実でした。
 ですが、もう昔の事、今は星域から星域へと流れる雇われ兵団。連合軍には恐らく根を張る事はありません」
 ワンダリングスは各星域の連合軍から入隊のスカウトを何年も前から受けていた。しかしグランタス艦長は種族や星域を越えての正義を志していた。
『……そうか。ならば、次の依頼が来るまで待機か。ああ、それとバーミリオンが言っていたホジョ星の娘さんはどうしているかね?』
 将校が訊いてきたので艦長は「ああ」と言うように答える。
「リブサーナの事ですか。あの子は戦いは未熟ですが、グルグロブで宇宙盗賊を武力ではなく、知恵で捕らえました。彼女は〈これから〉の人材です」
 艦長が約一日前の出来事を将校に語る。
『ほう、知恵でか……。近年、軍人はずれが和睦や人員整理(リストラクト)による失職、横領などの内部不正で宇宙盗賊と化し、増加している。中には連合軍出身もいて、こっちの弱点をついてくる。解決策もいくつか練ったが……』
 将校は平手で顔面を押さえる。
『おおっと、連合軍の私事はここまでにして……、では今回の依頼料として五十万コズムを支払う。どこでも受け取れるように宇宙市場(コスモマーケット)銀行に振り込んでおく。それでは、また』
 そこで通信が切れ、将校の立体映像が消えた。艦長は姿勢を崩し椅子に座り、モニターを宇宙図に切り替えて、宇宙市場の位置を確認する。
 宇宙市場(コスモマーケット)――それは各星域の“店”で宇宙に無数の店舗が存在する。巨大な白い数段重ねの円筒形建造物の中に、各惑星の名産品や食品、衣類、石けんや歯ブラシなどの生活用品、軍人のために武器や燃料も扱っている。
「次の宇宙市場まであと、三十二時間か」
 艦長は市場の座標と時間を割り出して計算する。
 それから二十数時間後――、巨大な宇宙建造物、 宇宙市場(コスモマーケット)が見えてきた。ウィッシューター号が何百台も入れる巨大な市場に入ろうと各星の様々な型や大きさの小型船、市場の外で修理や清掃を行うイカやタコを思わせるロボットは無数の触手で、磨いたり溶接したりしている。
 近くの惑星を回る衛星の上に停泊させたウィッシューター号の下層から小型の宇宙船、ミニーシュート号が出てきた。まるで胎内ふ化させた稚魚が母魚の胎内から生まれてくるようで、ミニーシュート号は全体が丸い薄青の小型船で、中には操縦席二席と荷物を置くスペース、小型動力源が搭載されている。
 ミニーシュート号の中には、今日の担当としてリブサーナとブリックが乗っていた。ブリックがイカリ型の操縦かんを握えい、リブサーナはその右隣に座っている。
 ミニーシュート号と他の小型船は一番下の大きな駐船階層に入っていき、正方形状の通路を通って仕切り状になっている駐船場に入って、リブサーナとブリックはミニーシュート号のハッチを開けて降りる。そして更に後ろの空間移動装置を使って、行きたい所に転送してもらう。今回の市場は四階建てで一階が駐船場、二階が衣食住の品物売場、三階が武器燃料、四階が案内などのサービスカウンターや現金引き出し所といった公共場である。
 四階のサービスエリアに着くと、ブリックとリブサーナは円筒状の転送装置がいくつも並ぶスペースの一つから出てきた。
 内部は天井の一面に照明が設置され、一日中明るい。見かけも大きさも服も違う異星人の客達、目がカメラと熱探知になっている警備ロボットは足がキャタピラで両手が長くてずんぐり体型、店員はリブサーナと同じ人型種(ヒューマンタイプ)もいれば獣人型や蟲型もいる。そして男性店員は緑と黒のパンツスーツ、女性店員はピンクとクリームのタイトミニの制服を着ている。
 ブリックは青い全身スーツと白ブーツと白いチュニック型トップをまとい、リブサーナは緑の長袖のひざ丈ワンピースと黒いエナメルブーツ姿だ。ワンピースには胸と背中と袖口に白いリボンがついている。
 まず宇宙市場銀行でグルグロブでの依頼料を現金引き出し機から引き出し、全星域共通のコズム紙幣を出した。紙幣は一〇〇〇コズム。しわのない五十枚のピン札がブリックの手で十枚引き抜かれて、銀行の白封筒に入れて残りの四十枚で市場の商品を買うのだ。
 燃料売場は宇宙船によって固形型や液体型、気体型と豊富な種類があり、五十センチほどの大きな円筒に入れられて、種類や成分や宇宙船の大きさによって透明な商品棚に置かれ分売されていた。
 ウィッシューター号の燃料は三元素化合気体で次の惑星までの距離の分を十本買い、買った燃料を駐船場に置かれたミニーシュート号のあるスペースに転送装置で送った。
 隣の武器売場でも、軍人や賞金稼ぎ、武闘家などの役職を持つ異星人が透明な棚に展示された小型や大型の銃、長短の剣を手に取ったり、大きな透明の箱には槍や斧、車輪のついた箱には鎖分銅や鞭、鉤爪などが入っている。どの武器も製造者や製造元、原料やデザインが異なる。ブリックとリブサーナは銃の弾丸(空)の予備と剣などの刃付き武器を磨くための油を買った。
 そして最後には衣食住のコーナーへ。その売り場も星や素材や形の異なる布や服や靴、野菜や果物や肉や魚、裁縫道具や洗浄剤が販売され、生活必需品の他、指輪などのアクセサリーが売られている宝石店、弦楽器や管楽器などの楽器や聴いて楽しむための音楽のディスクや録音チップが売られた音楽店、各惑星の共通媒体ともいわれる娯楽・本が売られている図書店も紙面に印刷された画集や文集、
電子機器に入れて読んだり見たりできるデータチップがある。データチップは原本の表紙と同じ絵柄のケースに入れられている。それから椅子やベッドなどの家具、ピリンが見たら喜びそうな人形やブロックが売られているおもちゃ屋、洗濯機やテレビモニターが売られている電化製品売り場もある。どの店も色んな星人やブリックと同じレプリカントもいる。レプリカントは男女とも美形・色白・ブロンド系の髪なので落ち着けば見つけられる。宇宙市場は全部回っていたら何日もかかりそうな広さである。
 リブサーナとブリックは食料品売り場で真空パックされた物や缶詰やフリーズドライ食品、次の惑星までもてる飲料水やドリンク類、いくつかの野菜と果物と穀物を購入した。それも転送装置で駐船場のミニーシュート号に送り、他にも洗浄剤や食器や洗濯類の洗剤を購入した。
「いっぱい買ったねー」
 リブサーナが買った商品を運んで転送した後にのびをした。
「ああ、そうだリブサーナ。お釣りがだいぶあるから、欲しいもの買っていいぞ」
 「え、いいよ。欲しいものなんて……」
 リブサーナは遠慮するが、留守番しているアジェンナやピリンには欲しいものがあった事を思い出した。
「じゃあ、ピリン達にお土産買っていい?」
「そうか。なら店内マップの前で待っている」
 ブリックはリブサーナにお釣りのコズム紙幣四枚と三角形白銅貨四枚と銀色菱型の銀貨六枚を渡し、リブサーナはアジェンナに水晶を削ったカンザシとピリンが持っている人形の新しい服を買ってあげた。
「優しいな、リブサーナは」
「いいよ、わたしはホントに。さあ、買う物買ったからウィッシューター号に帰ろう」
 ブリックとリブサーナは転送装置に入り、駐船場に着いて、荷物を詰め込んだミニーシュート号を発進させて、宇宙市場を出て近くの衛星で待ち構えているウィッシューター号へと帰っていった。

 

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